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科学的なリテラシーの低下について考える

学習指導要領における「生きる力」という考え方は間違っていない。私もそう思います。
ただし、近年の教育システムも間違っていないのかというと、間違っていないのかもしれませんが、失敗しているのは明白でしょう。
正しいことが成功するとは限りません。

「理科の応用力」日本は6位 OECD調査』(asahi.com)という記事から。
 経済協力開発機構(OECD)が昨年実施した、15歳を対象とした国際的な学習到達度調査(PISA)の「科学的リテラシー(応用力)」の分野で、日本は参加した57国・地域中、6位で世界的には第3グループに位置していることが29日わかった。

 科学的リテラシーを重点的に調査したのは初めてで、参加国も増えたため単純比較は難しいが、日本は前回の2003年調査では41国・地域中2位。1位は前回も今回もフィンランドだった。

 調査はOECD加盟国の平均点が500点になるように調整されている。今回は、日本の531点に対し、フィンランドは563点、2位の香港は542点。3位のカナダから7位のニュージーランドまで4点差。フィンランドと香港の二つが突出して良く、日本はそれに続くグループに入る結果となった。

 科学的リテラシーは、日本の教育課程では理科中心の内容。さらに、PISAでは、知識や技能を実生活で活用できるかや、論理立てて考える力が身についているかも調べる。

 PISAは00年から3年おきに実施され、科学的リテラシーのほか、読解力や数学的リテラシーも調べている。OECDは12月4日夕方(日本時間)に世界同時に公表する予定だったが、スペインの教育専門誌が結果の一部を報じたため、科学的リテラシーの順位と得点を発表した。残り2分野の結果や今回の問題などは予定通りの日程で公表するという。

生きる力を育むということは、つまり、ここで言うリテラシーを伸ばすことのはずです。
それが、まったく逆の結果が出ているのですから、関係者は、相当ショックを受けていることでしょう。

しかし、これが、授業時間増への裏づけとはならないはずです。
そこには、なんら合理的なロジックはありません。

ところで、朝日新聞では「リテラシー」を「応用力」と訳しているが、他紙は「活用力」と表現しています。
もともとリテラシーとは、読み書き能力や教養のことなので、どちらも違う気はしますが、「情報リテラシー」「メディアリテラシー」という使われ方をする場合は、「活用力」に近いですね。

なぜ、朝日新聞では「応用力」としてしまったのでしょうか?
「基礎」と「応用」という考え方がすでに違うのではないでしょうか。
ここでは、「知識」と「活用」という考え方の方が適しているでしょう。
そして、それは、段階的な構造になっているわけではなく、一体のものなんですね。
活用できて初めて知識だということ。

当たり前のようなことですが、「日本人は知識はあるが活用ができない」という言葉がひとり歩きをし始めると、また実態からかけ離れた議論になりそうな気がします。

【リテラシー教育関連書籍】
リテラシーと授業改善
仮説力を鍛える
日本の本当の順位

山梨大 優秀な教授を定年後も再雇用について考える

定年というシステムがなぜ必要なのかと、ふと思ったりします。
なぜ必要なのでしょうか?
「終身雇用、年功序列で、年齢が上になるほど賃金が高くなるので、どこかで切らないといけない」ということなら、今の社会には、そろそろ合わなくなってきているのではないでしょうか。
そもそも、仕事を辞めて隠居したくても、お金の問題で辞められない、という人も多くなってくるでしょうね。

優秀な教授、定年後も再雇用 山梨大が新制度』(YOMIURI ONLINE)という記事から。
 山梨大学は教育、研究に優れた実績をあげ、同大を65歳で定年退職した教授を再雇用する「山梨大シニア・リサーチ・プロフェッサー」制度を導入し、来年度からの実施を目指す。

 有能な教授を確保し、教育、研究の充実や、受託研究、共同研究など外部資金の獲得を図るのが目的。各学部などの推薦で、学長や、教育人間科学、医、工の3学部長らでつくる教育研究評議会で討議し、学長が決定する。各年度に2人程度の採用を想定しているという。すでに規定を作成しており、現在、対象者を受け付けている。


「教授」という職業の、脂がのってくる時期というのは、どれぐらいの年齢なんでしょうね。
私が接してきた先生方は、学生と接しているということもあり、実際の年齢よりかなり若く見えました。
政治家などと同じように、それなりの活躍をする時期というのは、企業などで働く人よりも年齢的には上になるのかもしれません。

そういう意味では、65歳を過ぎても、十分に活躍できるのかもしれませんね。

こういった教授には、学務や教育の仕事を免除して、研究だけに従事していただく。その代わり給与は抑える、という考え方もできるでしょうね。

もっと言えば、何も定年退職者だけでなく、そういう研究だけに長けた人、教育だけに長けた人、マネジメントだけに長けた人を、無理なく雇用できるような、柔軟なシステムがあればいいですね。

【教授の定年関連書籍】
定年教授の食卓
定年教授は新入生
定年制廃止計画


教職大学院 19校でスタートについて考える

来年4月開設の学部・研究科の設置認可が発表されました。
以前は、新しい大学・学部の新設は、ひとつのトピックとして注目されていましたが(少なくとも、大学関係者の中では)、改組・新設の認可申請が緩和されてからは、あまり注目されることがなくなってしまったような気がします。
申請取り下げも珍しくなくなりました(これは、受験予定者にとっては大きな問題ですが)。

教職大学院のスタートも、静かに始まった、という印象です。

教職大学院、19校でスタート 指導力の向上図る』(asahi.com)という記事から。

 08年度に学生の受け入れを始める教職大学院が、19校でスタートすることになった。文部科学省の大学設置・学校法人審議会が27日、認可した。小中高等学校の教員について「指導力不足」などの問題点が指摘されていることから、現職教員や学部の新卒者らを対象に、授業や学校運営の能力のレベルアップを図ることをめざしている。

教職大学院と通常大学院の違い

 21校が08年度の開設を申請し19校(国立15校、私立4校)が認可された。京都教育大は、周辺の私大7校と連携し連合大学院を設置する。各大学院の定員は16〜100人で、計706人。

 教職大学院は、法科大学院などと同じ専門職大学院の一種。学校運営の中心となっていく中堅教員や、実践的な指導力を備えた新人教員の養成をめざす。修了すると教職修士号(専門職)が与えられるが、待遇は各教委の判断に任されている。


引用した最後のテキスト"待遇は各教委の判断に任されている"というのがポイントですね。
法科大学院は、いろいろ問題ははらんでいるものの、修了しなければ司法試験を受験できないという意味で、大きな存在意義があります。
では、教職大学院はどうなのか?
教職大学院を修了していないと、教員になれないわけではありません。
教職大学院を修了していないと、学校の中でも管理職に就けない、というわけでもありません。
その一点だけでも、やはり仕組みとして弱い、という気がします。

さらに、例えば、教育学部を卒業して、教員資格も取って、でも現場の経験なしで、教職大学院に入学して、どれだけの指導技術が身につくでしょうか。
あるいは、その卒業生を、学校現場ではどう処遇していけばいいのでしょうか?

今回、2大学が申請を取り下げているが、認可された19校全てについて改善が求められている。
 認可された19校も、現職教員の学生について学校での実習を免除する計画がずさんだなどと指摘され、改善を求められるケースが相次いだ。この点について審議会は文科省に対しても「免除の基準があいまい」などと改善を要求。同省は近く基準を改善する考えを示した。

初年度なので、ある程度の準備不足はあるのだと思います。法科大学院の時も、認可されなかった大学はありました。
ただ、この状況は、審議会が指摘しているように、ただ大学の準備不足・認識不足というだけでなく、教職大学院とはこういうものだという共通認識が、文科省と大学の間で持たれていなかった、ということではないでしょうか。

教員制度については、もう1つ免許更新制の導入という問題があります。
これと絡めて、中堅教員をサバティカルのような形で1・2年教職大学院に入る、というのはどうでしょうか。
教職大学院の役割を、新人教員の育成ではなく、現場で新人指導もできる教員の育成に持って行くという考え方です。

【教職大学院関連書籍】
教職大学院
教員養成
教育的思考の作法

大阪工大と啓光学園の経営統合について考える

大学・学校組織に、経営統合という言葉が用いられるとは知りませんでした。
持株会社があるわけではないので、一応別々の法人として存在するけども、実質的には理事が共通で、一体として経営されるという意味だと考えればいいのでしょうか。

大阪工大と啓光学園、年明けにも経営統合 学校は存続』(asahi.com)という記事から。
 大阪工業大学などを運営する学校法人・大阪工大摂南大学(大阪市)と、全国高校ラグビー大会で4連覇した学校法人・啓光学園(大阪府枚方市)が年明けにも、経営を事実上統合することが26日、明らかになった。少子化が進んで、両法人とも学生・生徒を確保することが難しくなっており、中学から大学までの「一貫教育体制」を実現して教育機関としての魅力を高め、勝ち残りを目指す。12月初旬に正式発表する。

 受験生と募集定員の数がほぼ並ぶ「大学全入時代」を迎え、複数の大学を運営する大阪工大側は、中学から大学までの一貫教育体制をつくるため、付属中学校の開設を検討してきた。
 一方、中学・高校を併設する啓光学園側は、安定した系列の進学先がないこともあって、90年代は300人前後いた入学者数が、ここ数年は200人以下に。生き残りのためには進学実績の向上が欠かせず、教育体制の充実が期待できる大阪工大との統合が得策との判断に傾いた。

 両校は26日に理事会を開き、統合の基本方針をそれぞれ承認した。学校法人同士は合併せず、啓光学園の理事会(7人)の過半数を大阪工大側が得ることで、実質的に経営統合する。それぞれが運営する学校はそのまま残る。


大阪工大摂南大学は、名前の通り、大阪工業大学と摂南大学、そして広島国際大学を運営する学校法人。

啓光学園と言えば、高校ラグビーですよね。
さらに、大阪工大高校もかなりの強豪です。
もちろん、それぞれの高校は存続しますので、最強ラグビー部ができるわけではありません。

大阪工大、摂南大とも、桃山学院大や追手門学院大、神戸学院大などとともに、産近甲龍に次ぐポジションというイメージでしょう。
全国区ではないが、規模があるだけに、苦しいポジションではあると思います。

私の認識では、私立高校の生き残り策は、比較的簡単なのではないかと思っていました。
つまり、進学実績を上げればいいだけだ、と。
(そういう意識が、例のセンター私大合格実績水増しにもつながるわけですが)
そうやって、評価が上がってきた高校はあります。

でも、中堅大との経営統合に活路を見出すということは、進学実績を上げるということが、それほど簡単なことではなくなった、と考えるべきなのでしょうか。
確かに、特進クラスなどで徐々に実績を上げていって、学力の高い生徒を集めていくので、時間は多少かかるでしょう。
その余裕はないという判断なのでしょうか。

それにしても、なぜ法人を統合しないのかがやや疑問。
どなたか、理由が想像できる方はいらっしゃいますでしょうか。

【大学の生き残り関連書籍】
大学大競争
大学は生まれ変われるか
大学の生き残り戦略
大学は生き残れるか

JUGEMテーマ:学問・学校


8大学連携の理工系大学院開設について考える

また、大学院の共同設置の話が出てきました。
今度は、なんと8大学連携で、しかも、その数を増やしていくつもりのようです。

信州大や中央大など8校連携、理工系大学院開設へ』(NIKKEI.NET)という記事から。
 信州大学、電気通信大学など国公立大7校と中央大学は2010年度にも、東京都内に共同で理工系の「スーパー連携大学院」(仮称)を開設する。各大学が得意とする研究分野を生かしながら、企業と連携して新しい技術研究に取り組む。ビジネス界や行政で即戦力となる人材の育成を目指す。

 信州大などのほか、北見工業大、弘前大、秋田県立大、長岡技術科学大、三重大を加えた8大学でスタートし、今後も参加大学を募る。8大学は約60の大学や研究機関でつくる交流組織、コラボ産学官(事務局=東京都江戸川区)を通じて連携策を話し合ってきた。


なんとも、バラエティに富んだメンツです。
どういう狙いがあって、このような話が進んだのかがわからない状態で、あれこれ言うのもどうかとは思いつつ、前回の、薬学大学院の話と比較すると、ちょっと戦略性が見えません。

「各大学が得意とする研究分野を活かしながら」というフレーズがありますが、これだけのプレイヤーの中で、どのように活かされていくのかが、心配ですね。
中途半端に、あちらも立てて、こちらも立てて、とやっていると、空中分解してしまいそうです。

「各大学は出資者」ぐらいのつもりで、全く新しい大学を作るぐらいの勢いとリーダーシップがないと難しいような気がします。

ただ、そうなると、この大学院自体は成功するかもしれませんが、これがそれぞれの大学本体に対してどのようなメリットを還元することができるのか?という問題が出てきます。
どうやって、それぞれの大学本体にフィードバックされていくのかが、気にかかるところです。

目安箱で学生の意見を収集について考える

私の母校では、大学生協に「私もひとことカード」というのがありました。
サービスや品揃え、職員の対応などに対する意見をカードに書き、それに対する回答が貼りだされるというものでした。
(生協の白石さんで有名になったアレです)

それと同じものが、生協ではなく、大学本体で広がってきているようです。

「目安箱」で大学変えます 全入時代に向け広がる』(asahi.com)という記事から。
 「学長直行便」。成蹊大(東京都武蔵野市)は05年11月、そう名付けたポスト型の箱を学内3カ所に設置した。

 直行便は、栗田恵輔学長の発案で始まった。今や電子メールが全盛の時代。学生の意見をメールで募る大学は珍しくないが、なぜ本物の箱を置いて手書きの意見を投函(とうかん)してもらうのか。栗田学長は「メールだと、あまり深く物事を考えないで惰性で人に意見を伝えることがあると思った。きちんと字を書いてもらうことに意味がある」。

 原則記名式で、月に2度回収。これまでに240通が集まった。意見にはすべて栗田学長が目を通し、必要ならば関係部署と相談して回答する。意見と回答は学内のウェブで公表される。

 「成蹊大は社会活動やボランティアへの支援策が手薄では」。そんな意見を受け、学内に外部の団体との連絡窓口となる「ボランティアセンター」の設立準備室ができた。「不親切」などの意見が目立った職員の対応を改善したら、学内の調査で学生の不満度がほぼ半減した。成果は表れてきている。

 広島経済大(広島市)は03年12月に意見箱「聞いて学長!」を食堂など学内3カ所に設置。「学生の声を改革に生かしたい」という石田恒夫学長の思いを実現させた。これまでに寄せられた意見は約500件。すべて学長が目を通し、回答と一緒に箱の近くなどに掲示するようにしている。

この手の施策は、「意見を出しても反応が悪い」→「かえってマイナスイメージ」→「寂れる」というのが最悪のシナリオです。

活性化させるポイントは、
・トップ(学長)に直接届く
・全ての意見に回答する
・掲示して他の学生の目にも触れさせる
ということのようですね。

外食産業などには、よくこのような「お客様の声」のようなものがありますが、感想を出した本人や他の客へのフィードバックは難しいでしょう。
フィードバックできるのが、大学のいいところです。

さらに、学長自身が目安箱から意見を回収してみると、さらに信頼も増すのではないでしょうか。

●雨の日にバスを増やして下さい。

(回答)業者契約に基づいて運行されていますので天候によってダイヤを変えるのは不可能です。雨の日は渋滞したり混雑したりするものです。もう少しゆとりをもって大学に来るようにしてください。

●女子大では、コートが数着入る無料の生徒専用ロッカーが置いてあるので、この大学でも置いてほしい。

(回答)学生数約4000人の個人ロッカーを設置するには、多大な経費と広いスペースが必要となります。設備費と需要のバランスを考慮しても、現段階では計画はありません。コインロッカーを利用してください。

●なぜ喫煙スペースをいい場所にとり、喫煙者を優遇しているのかわかりません。

(回答)ご意見の通りまだ問題はありますが、決して優遇しているわけではなく、灰皿もかなり減らしましたし、屋根のない喫煙所もあります。喫煙スペースについても双方にとってふさわしい場所があれば、ぜひ学生課まで提案をお願いします。


広島経済大の意見箱に寄せられた意見と回答の例が掲載されています。
これを読むと、もう少し回答に工夫があってもいいのではないかと思います。

例えば、最初の回答では、「業者契約に基づいて・・・」とありますが、契約内容を決めるのは大学と業者の間です。
学生にとしては「いや、その契約内容についての要望なんですけど・・・」と言いたくなります。
もちろん、天気に合わせて、配車、人員配置を柔軟に対応することは難しいことは理解できますが、ニーズとしてはマジメなニーズですので、もっと丁寧に答えてあげてもいいのではないでしょうか。

さらに数が集まれば、どうしても、ふざけた要望も出てくるでしょう。
でも、それらに対する回答次第で、要望のクオリティをあげていくことはできるのではないでしょうか。

是非、学生の方も意見のクオリティを上げていって欲しいですね。
単に、「○○して欲しい」ということではなく、「○○して欲しい。□□のような方法であれば、実現できるのではないですか」といった提案型になっていくといいですね。

優れた要望・提案を集めるために、年間BEST意見賞のようなものをつくってもいいかもしれません。

ソルボンヌで学生衝突、大学閉鎖について考える

社会保険庁の年金問題が明るみになった時、「他の国なら、こんな事態になったら、暴動がおきてもおかしくない」という話をよく聞きました。
でも、数十年前には日本だって全国の学生が抗議運動を繰り返していた時代があったんですよね。私の世代から見ると、別の国の話のような気もしてしまいます。

ソルボンヌで衝突、閉鎖 仏大学改革に抗議拡大』(東京新聞)という記事から。
 【パリ24日共同】フランスのサルコジ政権が進める大学改革に一部の学生が「大学が商業主義に陥る」と猛反発、各地で抗議行動が続いている。23日にはパリ大学ソルボンヌ校で校舎入り口を封鎖していた学生と、勉強を続けるため中に入ろうとした学生が衝突、大学当局は同校を閉鎖した。AP通信などが報じた。

 反発が起きているのは8月に成立した「大学の自由と責任に関する法律」。同法は今後5年で予算や財産管理についての大学の裁量を拡大させると規定。職員採用などに関する学長の権限を強化し、民間資金の導入にも門戸を開く。日本の「国立大学法人」のフランス版ともいえる内容で、教育や研究の活性化を目指しているとされる。

 「大学間の格差拡大」を危惧し、法律撤廃を求める学生らは全国で抗議行動を展開。フランス公共ラジオによると、全国の50大学で校舎封鎖などの動きが出ており、抗議行動は高校にも広がりつつある。


学長の権限強化、民間資金の導入・・・と、どこかで聞いたような話ですね。
もちろん、日本でも法人化が決まる時には、学生が反対運動をしていました。
このような騒動にはなりませんでしたが。

つかこうへいの『飛龍伝』が好きで、そこから、学生運動・安保闘争などが題材のドラマやドキュメンタリー、書籍などはなんとなく気になって見てしまします。

学生の、大学に対する抗議、あるいは教育制度に対する抗議というのは、ある意味純粋です。
これが、学費値上げなどであれば、直接自分の身に降りかかってきますが、「大学が商業主義に走る」としても、自分の在学中にそう大きな変化はないでしょう。自分のことだけではなく、自分達の後輩のため、あるは国全体のことを考えての行動なんだと思います。

ただ、デモをしてどうなるというものでもないだろうという気もします。
(これこそが日本人の感覚なのかもしれませんが)

昔、ロシア(だったと思いますが)で何かのデモの映像を見た時に、プラカードが英語で書かれていたことがありました。
あくまでも、自分達の国に対するデモだったのですが、あきらかに、その映像が国際的な報道にのることを意識したものでした。

ネットが普及した今、サイバー攻撃とかとは別の方法で、あらたな抗議活動の方法というのもあるのかもしれませんね。

【フランスの教育関連書籍】
フランスの大学生
21世紀を展望するフランス教育改革

ニンテンドーDSで進研ゼミについて考える

我が家にもDSあります。
世間一般的には、一家に一台というよりは、一人に一台になってますよね。
DSに限らずゲームというのは、そもそも画面に集中するので、学習に効果的なのは身を持って感じます。

ベネッセ:ニンテンドーDSで「進研ゼミ」 来年1月から』(毎日.jp)について考える。
 ベネッセコーポレーションは22日、家庭用携帯ゲーム機、ニンテンドーDSを使った次世代型カリキュラム「得点力学習DS」、ウェブサイト「進研ゼミ中学講座+i」を来年1月から始めると発表した。DSは学年別、5教科計18種類のソフトを同時に発売する。携帯端末を使うと移動時間が有効に使えるうえ、集中しやすいというデータもあることから、同社では効率的な学習ができると期待している。

 英単語や重要な用語の暗記、テスト形式での繰り返し学習などで、解答を書き込むと、答え合わせができ、次々に問題を解いていける。専用のタッチペンで「手書き」入力できるため記述式テストが可能なことや、同社調べでDSの中学生の普及率が8割を超えたことも導入の決め手になった。


ポイントは、実際の映像やアニメなどの動画と組み合わされることと、あとはタッチペンによる文字認識でしょうね。
正直言って、あまり作り込んだ教材でなくても、面白い授業・質の高い授業のビデオを上の画面で流しながら、レジュメや演習問題を下の画面に書き込んでいけば、それだけで充分な学習になりそうな気がします。

DSの開発者は、ここまで学習トレーニングに使われることを想定していたんでしょうかね。タッチペンという技術は随分前からある技術だと思いますが、それを完全に活かしきった技術と発想に感服します。
マイクロソフトがタブレットPCを普及させきれない状況で、お見事ですね。

それにしても、同社社長のコメント「DSは、移動中など“すきま”の時間を有効に活用できる」とあるが、中学生の移動手段は自転車ではないのでしょうか? DSやってる状況ではないと思うのだが・・・。
その感覚は、私が田舎育ちだから?

【ゲームと学習関連書籍】
0歳からの「育脳ゲーム」
ニンテンドーDSが売れる理由
テレビゲーム教育論

マーケティング分野の産学連携組織発足について考える

改めて言うまでもありませんが、現在、大学は学費と補助金以外に外部資金を獲得することが求められています。
特に、国立大学は大きな交付金の削減が決まっており、大きなプレッシャーになっていることでしょう。
ただ、どうしても理系分野が中心の話となっています。
そんな中で、こちらは文系分野の産学連携推進の取り組みです。

マーケティング分野で大学と企業をつなぐ産学連携推進組織が発足』(IP NEXT)という記事から。
 マーケティング企業グループのハルは20日、企業と大学をつなぐことを目的とした産学連携を推進する組織「アイ・シーエル(iCL)」を設立した。全国24の大学37名の研究者が集まり、自ら企業に働きかけることで、大学の研究成果を積極的に社会で活用できるよう、環境を整備するのが狙い。神戸大学大学院経営学研究科の石井淳蔵教授が代表を務める。
 アイ・シーエルでは、マーケティングや経営学など人文系の研究成果を中心に取り組む。窓口業務はハルグループの株式会社アンティムが担当。企業と大学のつながりを強化する組織として、幅広い活動を展開するという。


大学の中で、外部との連携を推進する部門は、リエゾンオフィスなどと呼ばれています。このように大学単位で動くか、あるいは教員の個人的なつながりによるものというのが多いようです。

この組織は、大学単位でもなければ、個人でもない、新しいパターンということでしょうか。
教員を中心とした連合体というイメージですね。

このような場合、教員が獲得してきた資金から一定比率で大学にもお金が入るようになっている(簡単に言うとピンハネ)はずですよね。

先生が営業に回るわけにもいかないでしょうから、この組織の場合は、企業とのやり取りを外部に委託している(と言うか、その企業が音頭をとっている)ようですが、もっと大学が組織としてこのような動きをするべきなんじゃないかな、と思う次第です。

その分、大学に入るお金も増えるでしょうし。

【産学連携関連書籍】
産学連携から人づくりへ
新地場産業への産学官からの挑戦
産学連携の実証研究

Uターン就職で奨学金返還免除について考える

国立大学が法人化されるのにあわせて、一部法人化された公立大学もありましたが、基本的には、公立大学はそのままです。
第三セクターではなく、まるまる自治体が運営しているわけですが、大丈夫なのでしょうか。
大学があることは、それほど地方にとってメリットになるのでしょうか。

大学卒業後は故郷に 飯田市、Uターン者に奨学金の1/3免除(中日新聞)という記事から。
 大学卒業後は故郷に帰ってきてもらおうと、飯田市は本年度から、Uターン者に市奨学金の3分の1を免除する特例措置を始めている。全国でも珍しい取り組みといい、来年度からは大学院卒業生にも枠を広げる。

 市の奨学金は松村育英会、龍峡育英会、長志育英会で、いずれも民間から寄付された基金。大学生は月3万円を貸与され、卒業して13カ月目から返還が始まる。自治体による育英会自体も珍しく、利子や所得制限がないのが利点だ。

 市には4年制大学がなく、高校卒業後に8割が飯田を出て、うち6割が帰ってこない。持続可能な地域を目指してU、Iターンに力を入れており、Uターン者の返還一部免除に乗り出した。

 対象は大学、大学院卒業後に飯田にUターンした人で、3分の1を上限に免除される。4年間で144万円を貸与された場合、最大で48万円が免除される。免除分は市が補てんする。

 市教育委員会の学校教育課では「大学で学んだ人に帰ってきてもらい、飯田の発展につなげたい。大学院に枠を広げることで、若者たちのUターンを促進させたい」と期待している。

大学も、ある意味では、ハコモノです。
もちろん、その中の人件費もバカになりません。

せっかく公立大学を作っても、県外の受験生には見向きもされないような大学も多くないですか。
そして、地元の学生が入学しても、結局卒業後は、都市部で就職することになってないでしょうか。
そもそも、大学での教育レベルを上げれば上げるほど、地方ではものたりなくなて、都市部に流出するジレンマを抱えることになっていないでしょうか。

この飯田市の施策は、ハコモノとはまったく違ったベクトルで、若者の就学を支援しながら、かつ地元での若年労働力を確保するものです。

地元で育ち、大学も地元で、親元から通い、地元で就職する・・・それは悪いことではありません。でも、いったん都会に出て、それでも地元に帰って働く者が多い・・・そんな自治体の方が魅力的だと感じます。

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