インターネットで見つけた大学のニュース、教育の話題に、ひと言つっこみを入れながら、大学のことを考えていきます。(基本的には応援姿勢)
国立大学が法人化され、国からの交付金削減が続く中、三重大(津市)と和歌山大(和歌山市)が経費削減のため事務部門の統合を検討していることが分かった。国立大再編は10月の大阪大・大阪外語大の完全統合が14例目だが、限定的な統合案は初めて。
三重大の豊田長康学長と和歌山大の小田章学長が3日に会談し、事務作業の共通化を検討することで合意した。近隣の国立大にも参加を呼びかけるが、豊田学長は「完全統合は考えていない」と話している。
野村証券は、大阪市立大学と包括提携し、教育や研究、地域貢献など幅広い分野でサポートする。具体的には(1)大学経営および運営(2)大学教育(3)人材育成(4)学術研究(5)戦略的産学官連携(6)留学生支援−などで、野村が培ってきた事業分析力や財務助言などのノウハウを大学経営分野にも転用して生かす。野村の社員も必要に応じて派遣していく。
大学入学資格検定(大検)から衣替えした高等学校卒業程度認定(高卒認定)試験の出願者が増えている。
全日制在籍者も受験可能 合格者の進学率5割到達
合格者の大学進学率も高まり、今年から、同試験の合格者を対象に、面接と書類選考で選抜を行う大学も登場した。高校中退者や不登校生が進学する道として、注目を集めている。
今月20日、東京・文京区にある高卒認定試験予備校「第一高等学院」御茶ノ水校で、英語の授業が行われていた。約25人の受講生が講師の説明をノートにしっかりと書き写している。
受講生の男性(18)は高校を中退、美容師を目指したが挫折した。「もう一度やり直したかった。働いていた経験が、大学の勉強でも生かせると思う」と意気込む。同学院は全国に34校を展開し、計約7000人が学んでいるという。
高卒認定試験が始まったのは2005年度。8〜9科目の試験を受け、すべて合格すれば、大学進学資格だけでなく、就職や資格試験の場で高校卒と同等の資格が与えられる。
高校に在籍しながら受験できるのは、大検では通信制や定時制高校に限られていたが、高卒認定試験では全日制高校にも対象が広がったため、不登校の生徒は中退しなくても受験が可能になった。学校長の判断で、合格した科目を卒業単位に組み入れる仕組みも整った。
制度が変わり、受験しやすくなったことで、8月と11月の年2回実施される試験の出願者は、05年度が2万6631人、06年度は2万9619人と増えている。このうち、全日制高校の在籍生は06年度で9・2%を占めた。今年8月の出願者数は1万6856人で、昨年8月を上回っている。
文科省の調査では、高卒認定試験の合格者が大学や短大などに進学した割合は06年度は50・4%に達した。大検時代の39・2%(01年度)より11・2ポイントも増えている。
高卒認定試験の合格者を対象にした入試を行う大学も現れ、大正大学(東京都豊島区)は今年から、面接と書類審査で選ぶ「AOチャレンジ入試」を始める。定員は30人。「高卒者とは異なる、多彩な才能のある学生を集めたい」という。
技術系を中心に修士(大学院修士課程修了者)の企業への就職が増える中、日本経団連は27日、会員企業に対し、修士1年時に広がる大学院生の採用活動の自粛を呼びかける方針を決めた。
選考のルールがあいまいなため、採用活動が1年時の秋から、半年近く続くこともあり、「浮足立って研究に集中できない」などと大学から批判が出ていた。経団連は、倫理憲章に大学院生の新卒採用についても、「学事日程の尊重」を明記して、各企業に適正化を求める。
経団連の今春の調査によると、技術系新卒採用の7割以上が修士。かつては修士2年時に、学校推薦など就職先が決まるケースが多かったが、最近は、学生自らが企業のホームページに登録して選考を受けるのが主流。製薬系の9月を先頭に、各企業も優秀な学生を確保しようと、採用活動が早期化、長期化していた。
こうした状況について大学は、大学院教育の軽視と批判。大学院の重点化で、大学の学部とは別の大学院に進む学生が増えており、東京工業大の三木千寿副学長は「大学院教育の充実に力を入れているが、就職活動で寸断され台無しになる。半年で何を身につけたと判断するのか」と改善を求める。
経団連は批判を受け、あいまいだった倫理憲章を明確にした。大学院の採用活動について「学習環境の確保に十分留意する」としただけだったものを大学と同じように、「学事日程の尊重」を明記、「学業に専念する十分な時間を確保するため、卒業学年に達しない学生への選考活動を厳に慎む」とした。
文部科学省は大学同士が学部を共同設置できるよう、学校教育法を改正する方針を固めた。国公私立の垣根にとらわれず、柔軟に連携できるようにする。施設の共同利用なども幅広く促す方向で、特色のある大学間連携策には2008年度から財政支援も始める。同省は規模の小さい大学が多い地方で連携が進めば、大学運営の効率化が期待できるとみている。大学の再編がさらに進む可能性もある。
現行の学校教育法には、複数の大学が共同で学部をつくることを想定した規定がない。このため、近隣の大学間などで単位を互いに認め合う「単位互換制度」を導入しているケースはあるものの、学部そのものを共同設置することは事実上できないのが現状だ。
大学を卒業して半年。学生時代を思い出しながら、高松市幸町の香川大学幸町キャンパスを歩いた。キャンパス内の食堂は、安くておいしくて学生たちの強い味方だ。レジで学生が財布からカードを取り出し、カードリーダーに通して精算していた。そのカードは一体何なのか。
ミールカードをカードリーダーに通し、食事の精算をする学生
そのカードは「ミールカード」といい、香川大学では05年度に導入された。価格は15万円だが、カード有効期間中の4月1日から3月31日までの1年間、1日1000円の限度額までなら、何度でも食堂を利用できる。ちなみに07年度の新入生は、4分の1に当たる約500人がミールカードを使っているという。
カード導入のきっかけは、学生の食生活の乱れにあった。00年に中・四国地方の大学生協が大学生約50人に、1週間の食事を写真に撮ってもらったところ、3食しっかり食べている学生はほとんどおらず、1週間のうち5日はファストフードだったり、お菓子で食事を済ませたりする学生もいたという。
「このままではいけない」。香川大学生活協同組合フードサービス部の柳原昌憲店長が学生たちの食生活を改善しようと、02年度に「ミールプラン」を導入し、栄養バランスなどを考慮したメニューを提案。ミールプランを支えるシステムとして、ミールカードが作られた。一人暮らしの学生たちが家庭と同じような食事をとることができる食堂を目指し、いまでは豆腐ハンバーグに肉じゃが、炊き込みご飯など70〜80種類のメニューをそろえる。定番メニューのほか、月ごとに「九州、沖縄フェア」などといった現地の食材を使った料理を提供している。
また、ミールカードに組み込まれたICチップに、メニューやカロリーなどの食事のデータや購入額などが記録され、そのデータは毎月、希望する親のもとに郵送かインターネットで送られる。「子どもの生活がリアルにわかる。しっかり朝起きて、大学でご飯を食べて学んでいると知って安心する」などと親からの反響も大きいという。
食堂をほぼ毎日利用するという工学部2年の疋田章博君(20)は、岡山県出身で一人暮らし。家で自炊はしていない。「ミールカードがあれば、食費を気にせず食べられるし、偏った食事にもならないし、助かっている」。食堂が休みの日曜日は、食事に困るとちょっと苦笑い。
文部科学省は、法科大学院やビジネススクールなどの専門職大学院について、初の実態調査の結果をまとめた。全140の大学院のうち、昨年秋時点で定員を満たしていないのは4割超に当たる60校。一部の有名校に人気が集まる二極化の傾向が強まっており、学生の獲得競争は今後一段と激しくなりそうだ。
今年2月から3月にかけて、専門職大学院を設置しているすべての国公私立大に対し、昨年10月1日時点の状況についての調査を依頼。全校から回答を得た。
大学進学者の5人に1人が高校3年の時に家でほとんど勉強せず、2人に1人は勉強時間が2時間以下−。「大学全入時代」が目前に迫る中、高校生の深刻な勉強不足の実態が22日、平成17年度時点で高校3年だった生徒を対象に、東大の研究グループが実施した全国的な追跡調査で分かった。少子化や大学定員の増加に加え、推薦入試、アドミッション・オフィス(AO)入試の拡大などで受験競争の激しさが緩和されたことが、高校生の学習意欲の低下に影響しているとみられる。
17年秋の第1回調査で、1年の時、平日に家や塾、図書館などで勉強した時間を振り返ってもらったところ、「ほとんどしなかった」と答えた生徒が59%と最も多く、「約30分」の13%と「約1時間」の17%を加えた「約1時間以下」が89%を占めた。
次に3年時の勉強時間を質問したところ、「ほとんどしない」は41%に下がったが、依然として最も割合が高かった。
一方で、「4時間以上」は1年時の1%から19%に増加した。
「約3時間」の13%を合わせると32%となり、勉強する層としない層に二極化している。
進路が決まった18年春に同じ生徒を追跡調査した結果、大学進学の割合は49%。このうち有効回答が得られた1972人について、前回調査で回答した高3時の勉強時間と照合すると「ほとんどしない」が22%に上り、「約2時間」の13%、「約1時間」の9%、「約30分」の6%と合わせ、勉強時間が「約2時間以下」の層が半数を占めたという。
「4時間以上」が最多の31%で、「約3時間」は19%だった。
調査を担当する東大の金子元久教授は、「高校の学習内容が生徒の学習意欲に合致していないのではないか。中教審などの議論は小中学校や大学に目が行きがちだが、高校生のこの状況は深刻だ」と話している。
文部科学省は21日、大学院の博士課程の年限を弾力化できるよう、年内にも大学院設置基準を改正することを決めた。各大学院が、教育内容に応じた効果的なカリキュラムを組めるようにするのが狙い。
大学院のカリキュラムをめぐっては、政府の教育再生会議が、教育水準向上のために博士課程前期を個別指導研究などで特に充実させるよう提言しており、改正は提言に沿ったもの。
大学院の博士課程は「前期2年、後期3年」もしくは「一貫で5年」のコースが標準。現行の設置基準は修業年限を超えたカリキュラム設定を明確には認めておらず、運用上認めている。
今回の改正ではこの年限を各大学院の判断で変更、延長できることを明確化。例えば、「前期2年、後期3年」を「前期3年、後期3年」といった前期を重視したコースに組み替えることが容易になる。
● 放送日 : 平成19年9月6日(木)
● 時間 : 24分52秒
● テーマ : 個性ある教育を目指して 〜大学・大学院改革〜
● 内容 : 国際化の進展の中で、知識の創造・発見・活用が社会の発展にとって極めて重要な「知識基盤社会」を迎え、企業等経済社会から大学に対する期待や要請が高まっています。また、少子化が進む中で大学全入時代といわれ、大学の個性、教育の質が求められています。そのためには、全国の国公私立大学と大学院の教育研究環境を整備し、その質を高め、優秀な人材を数多く輩出するための改革を推進する必要があります。今回は、文部科学省 高等教育局教育政策室長の鈴木 敏之さん、大学評価・学位授与機構教授の荻上 紘一さんを迎え、個性的な取組みをしている大学や、授業能力向上のための教員研修などを紹介しながら、大学・大学院改革についてお送りします。