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三重大と和歌山大の事務統合検討について考える

さて、いよいよこういう話が出てきました。
実は、私は、この三重大学へ自転車で通える範囲の町で生まれました。
母校ではありませんが、地元の大学が、このような話題で出てくるのは、ちょっと寂しい気がしますが、良い方向へ進む話であれば、是非やって欲しいと思います。

国立大再編:三重大と和歌山大が事務統合検討 経費を圧縮』(Mainichi interactive)という記事から。
 国立大学が法人化され、国からの交付金削減が続く中、三重大(津市)と和歌山大(和歌山市)が経費削減のため事務部門の統合を検討していることが分かった。国立大再編は10月の大阪大・大阪外語大の完全統合が14例目だが、限定的な統合案は初めて。

 三重大の豊田長康学長と和歌山大の小田章学長が3日に会談し、事務作業の共通化を検討することで合意した。近隣の国立大にも参加を呼びかけるが、豊田学長は「完全統合は考えていない」と話している。



地図の上では、三重県と和歌山県は隣り合っていますが、実は隣り合っている部分はほとんど交通網がないところ。
三重大学から和歌山大学まで、公共交通機関で行くとなると、実は奈良・大阪を経由して3時間以上かかります。

いくら、事務が電子化されているとしても、これは厳しくないでしょうか?

ただし、もっと多くの大学が、共通で事務機関を設立して、集中して仕事をするヘッドオフィスと、各大学の事務室にも人員を派遣する、という形を取れば確かに効率化はできそうな気はします。

私は、以前経理業務をアウトソーシングしていた職場で働いていたことがありますので、無理な話ではないでしょう。

実際、職員採用の一次試験は地域で共同でやっていますので、そういう感覚で進めることができるのかもしれませんね。

野村証券の大学経営支援について考える

タイトルを見ると、ちょっとドキッとしてしまいます。
「経営支援」と書かれると、資本参加(学校法人の場合、そうは言わないと思いますが)して、経営建て直しかと一瞬思ってしまいました。

野村証券、大学経営を支援 大阪市大と包括提携
 野村証券は、大阪市立大学と包括提携し、教育や研究、地域貢献など幅広い分野でサポートする。具体的には(1)大学経営および運営(2)大学教育(3)人材育成(4)学術研究(5)戦略的産学官連携(6)留学生支援−などで、野村が培ってきた事業分析力や財務助言などのノウハウを大学経営分野にも転用して生かす。野村の社員も必要に応じて派遣していく。

包括提携となっていますが、まあ、コンサルティングを依頼した、ということなんでしょうね。

それにしても、野村総研ではなくて、野村證券なんですね。
野村證券は東京大学と財務基盤についての共同研究も、やっていますね。

やはり、一番のポイントはお金を集めるところにあるのでしょう。
そういう意味では、総研ではなくて、證券の方が得意、ということになりますか。

学内に、そういうプロ集団を形成できれば一番いいのでしょう。
ただ、そもそも、これまでそういう視点が欠けていたからこそ、今深刻な状況になっているわけです。
このように、外部と連携をしてくというのも、ひとつの方法ですね。
下手に学内でやるよりも、割り切ってスムーズに進むような気もします。

高卒認定試験出願者増について考える

高校生だった頃、受験のためだけなら、高校には行かずに大検を受けた方が効率的な勉強ができそうだと、本気で思っていました。

高卒認定試験 増える出願者』(YOMIURI ONLINE)という記事から。
 大学入学資格検定(大検)から衣替えした高等学校卒業程度認定(高卒認定)試験の出願者が増えている。

全日制在籍者も受験可能 合格者の進学率5割到達
 合格者の大学進学率も高まり、今年から、同試験の合格者を対象に、面接と書類選考で選抜を行う大学も登場した。高校中退者や不登校生が進学する道として、注目を集めている。

 今月20日、東京・文京区にある高卒認定試験予備校「第一高等学院」御茶ノ水校で、英語の授業が行われていた。約25人の受講生が講師の説明をノートにしっかりと書き写している。

 受講生の男性(18)は高校を中退、美容師を目指したが挫折した。「もう一度やり直したかった。働いていた経験が、大学の勉強でも生かせると思う」と意気込む。同学院は全国に34校を展開し、計約7000人が学んでいるという。

 高卒認定試験が始まったのは2005年度。8〜9科目の試験を受け、すべて合格すれば、大学進学資格だけでなく、就職や資格試験の場で高校卒と同等の資格が与えられる。

 高校に在籍しながら受験できるのは、大検では通信制や定時制高校に限られていたが、高卒認定試験では全日制高校にも対象が広がったため、不登校の生徒は中退しなくても受験が可能になった。学校長の判断で、合格した科目を卒業単位に組み入れる仕組みも整った。

 制度が変わり、受験しやすくなったことで、8月と11月の年2回実施される試験の出願者は、05年度が2万6631人、06年度は2万9619人と増えている。このうち、全日制高校の在籍生は06年度で9・2%を占めた。今年8月の出願者数は1万6856人で、昨年8月を上回っている。

 文科省の調査では、高卒認定試験の合格者が大学や短大などに進学した割合は06年度は50・4%に達した。大検時代の39・2%(01年度)より11・2ポイントも増えている。

 高卒認定試験の合格者を対象にした入試を行う大学も現れ、大正大学(東京都豊島区)は今年から、面接と書類審査で選ぶ「AOチャレンジ入試」を始める。定員は30人。「高卒者とは異なる、多彩な才能のある学生を集めたい」という。


実は、この高卒認定試験受験のためのサポート校がどんどん広がればいいのに、と思っています。

なぜなら、あらためて「高校とは何か?」を考えるいい機会となると思うからです。
大学受験を目指す人は高校へは行かず、高卒認定試験受験の準備をする、ということが当たり前の社会になったら、いったい高校って何のためにあるの? ということになりますよね。

公立高校でも、現在は中学生・保護者から選ばれる身になっていますので、大学合格実績を当然のように追いかけます。
でも、その「当然」というい思考停止がいちばん危険なわけで、何かしらのカウンターが必要だと思っています。

少々アイロニックな考えのようにも思いますが、それはそれで、高校生のためにはなるのでしょうか。

修士1年時の採用活動について考える

売り手市場になってきていますので、企業側としては少しでも早く、優秀な学生を確保したいという本音が、どうしても勝ってきますよね。
実際、学部生については、卒業学年になる前から、選考が始まっていますよね。
憲章にどれほどの拘束力があるのでしょか?

大学院修士1年 採用活動「待った」…経団連』(YOMIURI ONLINE)という記事から。
 技術系を中心に修士(大学院修士課程修了者)の企業への就職が増える中、日本経団連は27日、会員企業に対し、修士1年時に広がる大学院生の採用活動の自粛を呼びかける方針を決めた。

 選考のルールがあいまいなため、採用活動が1年時の秋から、半年近く続くこともあり、「浮足立って研究に集中できない」などと大学から批判が出ていた。経団連は、倫理憲章に大学院生の新卒採用についても、「学事日程の尊重」を明記して、各企業に適正化を求める。

 経団連の今春の調査によると、技術系新卒採用の7割以上が修士。かつては修士2年時に、学校推薦など就職先が決まるケースが多かったが、最近は、学生自らが企業のホームページに登録して選考を受けるのが主流。製薬系の9月を先頭に、各企業も優秀な学生を確保しようと、採用活動が早期化、長期化していた。

 こうした状況について大学は、大学院教育の軽視と批判。大学院の重点化で、大学の学部とは別の大学院に進む学生が増えており、東京工業大の三木千寿副学長は「大学院教育の充実に力を入れているが、就職活動で寸断され台無しになる。半年で何を身につけたと判断するのか」と改善を求める。

 経団連は批判を受け、あいまいだった倫理憲章を明確にした。大学院の採用活動について「学習環境の確保に十分留意する」としただけだったものを大学と同じように、「学事日程の尊重」を明記、「学業に専念する十分な時間を確保するため、卒業学年に達しない学生への選考活動を厳に慎む」とした。

確かに、学部から持ち上がってきた院生ならともかく、他大学の学部から移ってきた院生は、入学して半年で就職活動と言われたら、つらいものがあります。

修士1年の夏期に、長期のインターンシップを各社大々的にしてみたらどうでしょうか。
そこで、優秀な学生に目をつけておいて、翌年4月以降にアプローチをかける、ということでいいのではないかと思います。

間をおくことで、企業側も院生の成長度合いを見ることができますし、院生も緊張感を持って自分の研究に取り組むことができます。

「実質的な採用活動だ」「結果的に就職活動の長期化だ」という批判も出そうですが、このシステムであれば、大学の学事に支障はないでしょうし、院生側にも自分の研究にフィードバックさせるメリットがあるように思います。

大学共同で学部設置について考える

連休の中で、大きなニュースが埋もれていました。

大学の学部、共同設置可能に・文科省、学校教育法改正へ』(NIKKEI.NET) という記事から。
 文部科学省は大学同士が学部を共同設置できるよう、学校教育法を改正する方針を固めた。国公私立の垣根にとらわれず、柔軟に連携できるようにする。施設の共同利用なども幅広く促す方向で、特色のある大学間連携策には2008年度から財政支援も始める。同省は規模の小さい大学が多い地方で連携が進めば、大学運営の効率化が期待できるとみている。大学の再編がさらに進む可能性もある。

 現行の学校教育法には、複数の大学が共同で学部をつくることを想定した規定がない。このため、近隣の大学間などで単位を互いに認め合う「単位互換制度」を導入しているケースはあるものの、学部そのものを共同設置することは事実上できないのが現状だ。

実は、この話題も、先日紹介した政府広報番組で触れられていました。文科省の方が、かる〜く「今年後半から来年にかけて整備していきます」といった感じで紹介していました。

伝統的に強い学部を持っている大学同士が連携して、新しい複合分野を作ったりするという展開は面白いですね。
でも、なかなかそういう大学同士は、ライバルでもあるので手、を組みづらいかもしれません。
単科大学同士の組み合わせならアリでしょうね。

ただし、一番想定されるのは、法人合併をしない緩やかなネットワーク大学化ではないかと思います。
都市部の有力な大学が、地方の小規模な大学と共同で、全国に新しい学部を作っていく。
どこまで「共同」が許されるのかはわかりませんが、独自の学部を持たずに、「全ての学部が某有名大学と共同設置です」みたいなことにならないでしょうか?
生き残る策としては1つの方法ではあるでしょう。

さすがに、そこまでは広げないかな。

香川大 1年間15万円で1日千円まで食べ放題について考える

学生時代は、お昼の学食が混むのが嫌で、生協でおにぎりや弁当などを買ってきて、サークルのボックスで食べることが多かったです。
結構大学周辺の飲食店の値段が安くて、特別に学食が安い、という感じでもなかったです。

15万円のカードで、1日千円まで1年間食べ放題』(asahi.com)という記事から。
 大学を卒業して半年。学生時代を思い出しながら、高松市幸町の香川大学幸町キャンパスを歩いた。キャンパス内の食堂は、安くておいしくて学生たちの強い味方だ。レジで学生が財布からカードを取り出し、カードリーダーに通して精算していた。そのカードは一体何なのか。

ミールカードをカードリーダーに通し、食事の精算をする学生

 そのカードは「ミールカード」といい、香川大学では05年度に導入された。価格は15万円だが、カード有効期間中の4月1日から3月31日までの1年間、1日1000円の限度額までなら、何度でも食堂を利用できる。ちなみに07年度の新入生は、4分の1に当たる約500人がミールカードを使っているという。

 カード導入のきっかけは、学生の食生活の乱れにあった。00年に中・四国地方の大学生協が大学生約50人に、1週間の食事を写真に撮ってもらったところ、3食しっかり食べている学生はほとんどおらず、1週間のうち5日はファストフードだったり、お菓子で食事を済ませたりする学生もいたという。

 「このままではいけない」。香川大学生活協同組合フードサービス部の柳原昌憲店長が学生たちの食生活を改善しようと、02年度に「ミールプラン」を導入し、栄養バランスなどを考慮したメニューを提案。ミールプランを支えるシステムとして、ミールカードが作られた。一人暮らしの学生たちが家庭と同じような食事をとることができる食堂を目指し、いまでは豆腐ハンバーグに肉じゃが、炊き込みご飯など70〜80種類のメニューをそろえる。定番メニューのほか、月ごとに「九州、沖縄フェア」などといった現地の食材を使った料理を提供している。

 また、ミールカードに組み込まれたICチップに、メニューやカロリーなどの食事のデータや購入額などが記録され、そのデータは毎月、希望する親のもとに郵送かインターネットで送られる。「子どもの生活がリアルにわかる。しっかり朝起きて、大学でご飯を食べて学んでいると知って安心する」などと親からの反響も大きいという。

 食堂をほぼ毎日利用するという工学部2年の疋田章博君(20)は、岡山県出身で一人暮らし。家で自炊はしていない。「ミールカードがあれば、食費を気にせず食べられるし、偏った食事にもならないし、助かっている」。食堂が休みの日曜日は、食事に困るとちょっと苦笑い。


1年間15万円ということは、だいたい学生が大学に出るのが1年間で30週×週5日×1日1000円=15万円という計算ですね。

学生にとって、一気に15万円を支払うのは大きいでしょうが、授業の多い1,2年生の頃なら損はしないと思います。

ただ、1000円というのが、微妙ですね。
いくら学食が安くても、1000円で3食は厳しいのではないでしょうか?

それとも、朝200円、昼夕400円ぐらいで、1000円で足りるように用意されているのでしょうか。

あと、メニューやカロリーの履歴は、本人もインターネットで閲覧できるのでしょうか?

可能であれば、リアルタイムで更新されて、しかも学食外で食べたメニューを登録していくことによって、食生活のすべてを自分で管理できるようになれば、ベストですね。

専門職大学院4割が定員割れについて考える

最近できている専門職大学院の専攻を見てみると、どこもなかななか魅力的です。
でも、いざ自分が行ってみたいかというと、そこまで踏み切れません。
そんな人は多いのではないでしょうか。
その一歩が出ないのはなぜなのか、根本的にリサーチする必要がありそうです。

専門職大学院4割が定員割れ・文科省調査』(NIKKEI NET)という記事から。
 文部科学省は、法科大学院やビジネススクールなどの専門職大学院について、初の実態調査の結果をまとめた。全140の大学院のうち、昨年秋時点で定員を満たしていないのは4割超に当たる60校。一部の有名校に人気が集まる二極化の傾向が強まっており、学生の獲得競争は今後一段と激しくなりそうだ。

 今年2月から3月にかけて、専門職大学院を設置しているすべての国公私立大に対し、昨年10月1日時点の状況についての調査を依頼。全校から回答を得た。

学部への進学の時の、高校での進路指導のように、チュートリアルをしてくれる存在がないわけで、自然に情報誌などへの広告や、そもそもの知名度が重要な選択材料になってくるのでしょう。
どちらも、有名大学・大規模大学に有利です。

大学ごとに、採算ラインといのはまちまちで、定員=ブレークイーブンということではないでしょうから、定員割れ=赤字ではないと思います。
学術大学院では、ずーっと定員割れという研究科もたくさんあると思います。
でも、専門職大学院は、社会のニーズがなければ存在する意味はありません。

これまでも、何度か書いてきましたが、自治体や企業と連携して、それらから安定的に学生を派遣してくれそうな専攻を作ることはできないのでしょうか。
「そんなところにお金を出すような余裕は企業にはない」ということなら、ますます「そんなことにお金を出すような余裕は社会人にもない」わけで、そもそもその専攻はいらない、ということになってしまいます。

学校外学習時間の二極化について考える

小学校の時に、日記を含む「自由勉強」ノートを一日3ページほど、宿題として課されていました。今思えば「どこが自由やねん」という気はしますが、確かに、3ページに何をやってもいいという自由はありました。
宿題以外にも、自分で勉強をするという習慣がついたという点では、感謝しています。

「全入」目前、意欲低下 5人に1人、勉強せず大学へ 』(Sankeiweb)という記事から。
 大学進学者の5人に1人が高校3年の時に家でほとんど勉強せず、2人に1人は勉強時間が2時間以下−。「大学全入時代」が目前に迫る中、高校生の深刻な勉強不足の実態が22日、平成17年度時点で高校3年だった生徒を対象に、東大の研究グループが実施した全国的な追跡調査で分かった。少子化や大学定員の増加に加え、推薦入試、アドミッション・オフィス(AO)入試の拡大などで受験競争の激しさが緩和されたことが、高校生の学習意欲の低下に影響しているとみられる。

 17年秋の第1回調査で、1年の時、平日に家や塾、図書館などで勉強した時間を振り返ってもらったところ、「ほとんどしなかった」と答えた生徒が59%と最も多く、「約30分」の13%と「約1時間」の17%を加えた「約1時間以下」が89%を占めた。

 次に3年時の勉強時間を質問したところ、「ほとんどしない」は41%に下がったが、依然として最も割合が高かった。

 一方で、「4時間以上」は1年時の1%から19%に増加した。

 「約3時間」の13%を合わせると32%となり、勉強する層としない層に二極化している。

 進路が決まった18年春に同じ生徒を追跡調査した結果、大学進学の割合は49%。このうち有効回答が得られた1972人について、前回調査で回答した高3時の勉強時間と照合すると「ほとんどしない」が22%に上り、「約2時間」の13%、「約1時間」の9%、「約30分」の6%と合わせ、勉強時間が「約2時間以下」の層が半数を占めたという。

 「4時間以上」が最多の31%で、「約3時間」は19%だった。

 調査を担当する東大の金子元久教授は、「高校の学習内容が生徒の学習意欲に合致していないのではないか。中教審などの議論は小中学校や大学に目が行きがちだが、高校生のこの状況は深刻だ」と話している。

確かに、数字を見るまでもなく、二極化しているという実感はあります。
家では勉強しないが塾ではやる、ということであればまだましですが、家庭外での学習も合算しても、この程度なんですね。

格差社会だ何だと文句を言う人は多いですが、少なくとも自ら勉強をする機会は平等にあるはず。
レベルの高い大学に行って、エリートになっていく人たちが、何の努力もせずに、その地位を獲得していくわけではない。

逆転のできる社会であることを実感できなければ、やはり競争社会を勝ち抜こうというモチベーションは生まれないだろう。

博士課程の年限弾力化について考える

学部生については学力低下など、とかく質のことが話題になりますが、博士については、質のことよりも、数のことの方が話題にあがるような気がします。

博士課程の年限弾力化へ 文科省が設置基準改正』(iza!)という記事から。
文部科学省は21日、大学院の博士課程の年限を弾力化できるよう、年内にも大学院設置基準を改正することを決めた。各大学院が、教育内容に応じた効果的なカリキュラムを組めるようにするのが狙い。

 大学院のカリキュラムをめぐっては、政府の教育再生会議が、教育水準向上のために博士課程前期を個別指導研究などで特に充実させるよう提言しており、改正は提言に沿ったもの。

 大学院の博士課程は「前期2年、後期3年」もしくは「一貫で5年」のコースが標準。現行の設置基準は修業年限を超えたカリキュラム設定を明確には認めておらず、運用上認めている。

 今回の改正ではこの年限を各大学院の判断で変更、延長できることを明確化。例えば、「前期2年、後期3年」を「前期3年、後期3年」といった前期を重視したコースに組み替えることが容易になる。

どれぐらい幅がとれるようになるのかわかりませんが、大学の裁量が大きくなるのはいいことです。
でも、大学側は、そんなに博士課程に一生懸命になるでしょうか?

政策的に博士を増やしてきた一方で、ポスドクという問題も大きくなっています。

国立大の、最近の改組などを見ても、修士課程は拡大しても、その影で博士課程の定員は減らしているというところもあります。

博士課程の修業年限を長くするだけでは、モラトリアムが長くなるだけのような気がします。

以前、学部から持ち上がりの院生を3割に抑えるという話がありました。
その方針を撤回してはどうでしょうか。
学部の後期から一貫して個別指導を続けて、博士課程後期に入った段階で研究者として独り立ちしているぐらいでないといけないのではないかと思います。

大学改革がテーマの政府広報番組について考える

毎日、大学関連のニュースをウォッチしていると、話題のない日はないのですが、テレビ番組となると、大学についてじっくりと取り組んだようなものって、あまり見ないですよね。
こちらも、報道ではなく、政府の広報番組です。
すでに放送は終わっていますが、Web上で全ての内容を見られます。

ドゥ!JAPAN「個性ある教育を目指して 〜大学・大学院改革〜」
● 放送日 : 平成19年9月6日(木)
● 時間 : 24分52秒
● テーマ : 個性ある教育を目指して 〜大学・大学院改革〜
● 内容 : 国際化の進展の中で、知識の創造・発見・活用が社会の発展にとって極めて重要な「知識基盤社会」を迎え、企業等経済社会から大学に対する期待や要請が高まっています。また、少子化が進む中で大学全入時代といわれ、大学の個性、教育の質が求められています。そのためには、全国の国公私立大学と大学院の教育研究環境を整備し、その質を高め、優秀な人材を数多く輩出するための改革を推進する必要があります。今回は、文部科学省 高等教育局教育政策室長の鈴木 敏之さん、大学評価・学位授与機構教授の荻上 紘一さんを迎え、個性的な取組みをしている大学や、授業能力向上のための教員研修などを紹介しながら、大学・大学院改革についてお送りします。

基本的には、教育再生会議の2次報告などを受けて、今年・来年に政策的にどのような動きがあるのかを解説する内容です。
すでに報道されている世界トップレベルの大学院支援や、9月入学の話題などもありました。

その中で、経済同友会の方のコメントが興味深いものがありました。
  • 企業としては即戦力が欲しい。
  • しかし、「即戦力」というのを、何か職業的なスキルだと勘違いされては困る。
  • 世の中の課題を発見し、それに対して解決する力が求められている。
    といった趣旨の言葉でした。

    これから大学を選ぼうとする高校生の方は、ここのところをよく考えて欲しいですね。
    大学で学んだ知識そのものを求めているわけではなく、どう問題意識を持って、どう学んで、どう行動したかが問われています。

    どの学部で学ぶかは関係ありません。
    毎年、人気学部・不人気学部という傾向があります。
    世の中の事件や、あるいはドラマの人気にも影響されるということもあるようです。
    (今年は、コムスンの問題もあり、福祉系は不人気なようです)

    進路指導では、「自分の将来の仕事を良く考えて、学部を選びなさい」と言われると思います。
    でも、18歳で自分の将来の仕事を深く考えるのは厳しいでしょう。
    何を学ぶは重要ですが、実は「どんな学び方ができるのか?」という大学の個性のようなものも、また重要なんだと思います。
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