インターネットで見つけた大学のニュース、教育の話題に、ひと言つっこみを入れながら、大学のことを考えていきます。(基本的には応援姿勢)
2008年春の新卒採用戦線で、一般職の募集を復活させる企業が相次いでいる。総合商社の丸紅と伊藤忠商事は、9年ぶりに一般職の新卒採用を復活させた。朝日生命保険は10年ぶりの採用となる。中には100倍を超える倍率という例もあり、女子学生を中心に超人気だ。企業が一般職募集を復活させる背景には、景気回復が底流にある。
文部科学省は、地方の国立大が消費や雇用を通して、1大学あたり年間400億〜700億円の経済波及効果を地域に及ぼすと試算した。
同省がこうした試算をするのは初めて。地方の国立大を巡っては、財務省が、主要財源である運営費交付金の配分に成果主義を導入し、再編・統合を進めるよう主張している。文科省は今回の試算を基に、地方大の役割を強調する方針で、議論が過熱しそうだ。
今回の試算は、文科省が財団法人「日本経済研究所」に委託。付属病院を持つ総合大である弘前、群馬、三重、山口の4大学を対象に調査が行われ、今月、報告書がまとめられた。
例えば、学生数7017人、教職員数2949人(2006年5月現在)の群馬大の場合、飲食費やアパート賃貸料など教職員・学生が消費する額を176億円と試算。研究資材の購入など大学による消費なども合わせると、総額は393億円となり、農林水産業などへの間接的な効果も加えると、全体の経済効果は597億円となった。同様に弘前大の経済効果は406億円、三重大は428億円、山口大は667億円。また、大学関連の雇用者数は、各大学とも県全体の約1%を占めていた。
志願者数と入学者数が一致する「大学全入時代」の到来で、各大学が広報活動にしのぎを削っている。全国ネットのテレビCM、大学のマスコット作り、広告会社を使ったイメージアップ戦略――。学生の獲得が生き残りに直結するだけに、どの大学も効果的なPR方法を模索している。
図書館の書棚を映し出す映像がゆっくりと流れる。「恋をした」「彼に夢中になった」「別の本と、運命的な出会いをしてしまった」……。本を男性になぞらえたようなテロップが画面に添えられる。
専修大(東京・千代田区)は今年4月から、全国ネットでこんなテレビCMを始めた。図書館編のほか教室編など計5種類を用意した。
(中略)
広告会社と契約する大学も増え、「博報堂」(港区)とコンサルタント契約を結ぶ大学は04年度の2校から、06年度は国立・私立合わせて10校となった。「外部にアピールする表現力が磨かれていない大学が手助けを求めている」。同社で大学広報を担当する武田洋幸さんはそう言う。
国立大学の博士課程の入学定員が今年度、初めて減った。政府は「科学技術創造立国」を掲げて博士の数を増やしてきたが、就職難から学生の「博士離れ」が始まり、一部の大学が定員の削減に踏み切ったためだ。関係者からは「現状を放置すれば優秀な人材が集まらなくなり、日本の国際競争力が低下しかねない」と心配する声も出ている。
文部科学省によると、国立大大学院博士課程の07年度の定員は1万4282人で前年度より118人の減。定員を減らしたのは秋田大(26人)、九州大(20人)、神戸大と千葉大(各18人)など。減少は56年以来だが、このときは戦後の学制改革の影響だったため、実質的には初めてという。
政府の教育再生会議が近くまとめる第2次報告の最終案の全容が25日、明らかになった。
国立大学改革について、「大胆な再編統合」や入学定員減などを打ち出し、自主的な運営効率向上を求めている。最終案は28日の合同分科会で議論した上で、6月1日の総会で決定し、安倍首相に提出する方針だ。
第2次報告は「公教育再生に向けた更なる一歩と『教育新時代』のための基盤の再構築」と題し、〈1〉学力向上(ゆとり教育見直しの具体策)〈2〉心と体―調和の取れた人を育てる(徳育の教科化、親の学び・子育ての応援)〈3〉大学・大学院の再生――の三つの柱に各五つ、計15提言をまとめた。
大学・大学院改革では、特に国立大学の改革案に重点を置いた。「教員の年功序列型給与システムの打破」「教授会万能の意思決定システムの廃止」「事務局改革による経営の効率化」などを例示した。
同窓会を、ビジネスや遊び相手探しなどのきっかけにするOBはどれくらいいるのか――。福岡県立修猷館高校(福岡市早良区)の同窓会を舞台にそんな調査をした筑波大大学院の黄順姫(ファン・スンヒー)教授(48)=教育社会学=が結果を分析し、本にまとめた。題して「同窓会の社会学」(世界思想社)。
黄教授は、九州大学の大学院生時代から、同校の教育や同窓会の役割に関心を持ち、92年から関係者のインタビューやアンケート調査などを繰り返してきた。
20〜71歳の卒業生2000人を対象にしたアンケート(回答は721人)では、約6割の436人が「個人的に同窓生と集う」と答え、そのうちの4割が「半年に1回」は集まっていた。
音楽やゴルフなどの趣味を通じた付き合いも濃いようで、398人が同窓会関係で「一つ以上のグループ」を持っていた。インタビューでも、破産や離婚などの人生の危機を迎えた時の相談相手に「同窓生を選ぶ」と話したという。黄教授は「同窓生を裏切ることを不名誉と思う修猷館出身なら『信頼できるはずに違いない』という、過剰なまでの安心感が相互にあるようだ」とみている。
学校法人五島育英会(東京都渋谷区)は22日、経営する武蔵工業大(世田谷区)と東横学園女子短大(同)の統合時期を、当初予定の来年4月から1年延期し、2009年4月にすると発表した。
定員超過率が認可に必要な基準をオーバーし、新学部の設置ができなくなったためで、来年5月、文部科学省に改めて設置認可を申請する。
特定地域内の登録した住民同士がパソコンや携帯電話を使いネット上で交流する地域ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の大学版となる「四国キャンパスSNS」を、徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部などが四国の四大学に参加を呼び掛けて立ち上げた。学生同士や教職員、OBの交流を促し、学業やサークル活動、就職などの情報交換に活用。二年後をめどに会員を四国全域の大学に広げ、大学生活を支える新たな共同体に育てる計画だ。
四国キャンパスSNSは、四国の大学間の連携を図ろうと、徳島大のほか四国、香川、高知工科三大学の学生に呼び掛けて一月二十三日に開設。導入を提案した同研究部の矢野米雄教授らが富士通四国システムズ(高松市)と共同開発したシステムを使い、徳島大で管理運用している。入会者がメールで招待する方式を採用し、会員は当初の数人から約二百八十人に増加。現在は学生と教職員中心だが、近く卒業生らにも拡大するとともに、四国の他の大学生にも呼び掛ける。
国立大学を運営するため、国が支給する「運営費交付金」を各大学の研究実績をもとに配分し直すと、全国87大学のうち74大学(85%)で、交付金が減少する計算になることが21日、財務省が財政制度等審議会で公表した試算でわかった。同交付金をめぐっては、政府の教育再生会議や経済財政諮問会議で、研究成果や競争原理に基づくよう配分方法を見直す方向で議論が進んでいる。今回の試算結果は、今後の議論に影響しそうだ。
運営費交付金は国立大学法人が教員の人件費や教育費などに充てる主要財源で、07年度は計1兆2044億円。国立大学が独立法人化した03年度以前は文部科学省の裁量で配分されており、04年度から6年間は、経営改善のため各大学とも前年度比で一律1%減と定められている。07年度交付額の上位は(1)東京大(2)京都大(3)東北大(4)大阪大(5)九州大の順だった。