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東京工業大に、文系の達人集う について考える

1991年の大学設置基準の大綱化以降、各大学が4年間の教育課程を自由に編成できるようになりました。

私が、大学の周辺で働きはじめたのが1994年ですが、その頃は「低学年次から専門の勉強ができる」ということが売り文句になっていました。

一方で「専門バカ」なんて言葉もあったりして、教養の復権の声も大きくなってきています。

東工大、集う文系の達人 中島岳志氏・磯崎憲一郎氏ら次々教授陣に 教養重視の伝統(朝日新聞)という記事から。
 理工系の国立大、東京工業大学が、中島岳志、池上彰、磯崎憲一郎の各氏ら著名な人文社会系学者、文化人を、次々と教授陣に招き入れている。全国的に文系学科を巡る状況は厳しくなっているが、東工大はリベラルアーツ=キーワード=の充実で志のある学生の育成にあたるという。鶴見俊輔、江藤淳ら、ビッグプロフェッサーを擁した伝統が改革を後押ししている。(藤生明)(後略)

池上彰教授を招聘してから、東工大のリベラルアーツ重視の話題がよく取り上げられるようになりました。

でも、記事にもあるように、東工大は以前から文系の科目が充実している工業大学でした。
さすがに、戦前・戦後の経緯までは知りませんが、全入時代を迎えて大学導入期の教育に焦点があてられるようになった頃、東工大の教養教育の充実度は群を抜くものがありました。単に先生を集めて、幅広く履修科目を揃えましたというだけでなく、それらの科目を学生に、ある意味強制的に履修させるような仕組みにもなっていました。

そういった背景があるからこそ、「他の国立大が文系軽視に傾くから、逆張りしよう」ということではなく、「自分たちが築いてきたものが、気付いたら特別なものになってきた」という面白さはあるのでしょうね。

興味深いのは、教養を、専門に入る前のイントロだとは考えていないというところ。
3年次以降に取り組む「教養卒論」は必修です。
多くの学生が大学院に進むからこそ、学部段階で促成栽培する必要がないという事情はあるかと思いますが、大胆な設計です。
「専門も教養も並行して、同じように必要」というメッセージだと受け取れます。

さらに、学部の学修の中で、テクノロジーよりもむしろ、人間や社会の方に重心を置きたくなる学生も出てくるかと思います。
現在でも、大学院には人文・社会のコースも設けられていますが、こちらも拡充して、人文・社会系の研究者養成で存在感を増していくと、さらに面白いですね。
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