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塾CM「偏差値29でも北大医学部に」が炎上 について考える

しばらく、仕事が忙しかったり、逆に完全オフにという日が続いていましたので、また更新を止めていました。

その間に、どうやらネット上で火が点いていたようで、私自身は記事になるまでまったくノーマークでした。

「そりゃ、ダメだろうな」という話題です。

四谷学院CM「偏差値29でも北大医学部に」が炎上 生徒は「偏差値74」東大寺学園出身だった(j-castニュース)という記事から。
偏差値29の学生でも、北海道大学医学部に合格できる――。大学受験予備校の四谷学院のCMで、低偏差値からの「大逆転劇」のような切り口で紹介されている生徒が、実は全国屈指の名門進学高校「東大寺学園」の出身だった。こんな指摘がツイッターに登場し、「偏差値詐欺みたい」などと炎上状態になっている。(後略)

ビリギャルのときも、その本が話題になっていたときには、あえて取り上げていませんでした。
なぜなら、「まあ、塾の宣伝だよね」と思ったからです。
その後に、1〜2周遅れて、興味深い話題が出てきたので、取り上げたことはあります。

偏差値を40上げて慶應に進学したビリギャルのその後 について考える
ビリギャルの先生が語る「受験こそ教養のきっかけ」について考える

「偏差値」というのは、とても便利な道具ですが、ひとり歩きし過ぎている感はあります。

大学関係者だって間違って使います。
「ウチは、偏差値は低くても…」といったりしますね。低いのは入試難易度であって、偏差値が低いわけではありません。いや、大学の偏差値なんてものはありません。
偏差値とは、集団の中での自分の位置を示すもの。「その位置が、これぐらいなら、その大学の合格可能性が50%ぐらいだよ」というのが、いわゆる入試難易度やランキングと呼ばれている各大学・学部・学科の基準値です。
あえて直すなら「うちは、偏差値の低い学生でも合格可能性が高いけど…」です。

大前提として、集団が違えば、当然、その中での位置、つまり偏差値も変わってくるものです。
逆に言えば、母集団が異なれば、その偏差値には何の意味もない、ということです。
そこが、今回のCMでの、表現のマジックということになります。

一つめの問題は、この「偏差値29」の母集団がはっきりしないということ。
全国規模の大手模試なのでしょうか。でも、四谷学院のCMで「進研模試で偏差値○○が…」とは使えないでしょうから、苦しいところです。
あるいは、校内模試の偏差値なのでしょうか。その場合、多くの受験生にとっては参考にもならない指標です。
記事でも、そのことが明らかにはなっていないので、ライターもそのあたりのことを問題だとは思っていないのでしょう。

そして、もう一つ深刻だと思われるのは、「偏差値については本人からの聞き取りの中で出てきた数字であり、事実と認識しております」と四谷学院側が回答している点。

これは、言い換えれば「成績表などは確認していない」ということです。
それだけでも、関係者が偏差値の意味を理解していないということなのですが、さらに、私が広告担当者ならば、そんな怖い数字をエビデンスもなしに使うことなんてできないですけどね。

CMを制作する代理店もそれを求めなかったんですかね。
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