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成績順授業料で大学の収入は増える? について考える

つい先日のエントリー「2031年度試算:国立大授業料、54万円が93万円に について考える」で取り上げた、国立大学費値上げ試算の問題。

大学関係者だけでなく、一般メディアでも話題になっていましたね。

このエントリーでは、「これを文科省が出して、何のメリットがあるの?」と書いていますが、これだけ酷い状況になっているということを、一般に認知されれば、文科省としてもOKなのかもしれませんね。

大学の収入を増やす「成績順授業料」のススメ 税金投入の前に国立大学はもっと工夫できる(東洋経済)という記事から。
土居 丈朗 :慶應義塾大学 経済学部教授

(前略)給付型奨学金で話をそらしてはいけない。研究や教育を充実させるために、国立大学の自己収入を増やす努力をどう引き出すかが問われている。

その点について、筆者は秘策を持っている。それは、学生の成績順に授業料を変えることである。たとえば、成績が上位3分の1の学生は標準の授業料の半額、中位3分の1の学生は標準の授業料、下位3分の1の学生は標準の1.5倍の授業料をとるとしたらどうだろう。これなら、大学に入る授業料収入は、全員から標準の授業料をとったのと同じ収入総額となる。

これを踏まえれば、上位3分の1の学生は標準の授業料の半額、中位3分の1の学生は標準の授業料、下位3分の1の学生から標準の1.75倍の授業料をとれば、大学の授業料収入は約1.1倍になる。ここで3分の1と区切ったのは、数値例を簡単にするためであって、成績の区分を10区分とか細分化すれば、よりきめ細かい配慮が可能となる。また、高い授業料を避けようと、学業により専念するインセンティブを学生に与えることもできる。(後略)

まあ、この提案を採用しない、この先生の本務校は、賢明でしょうね。

まず、成績順授業料ということは、成績が決まってからでないと学費が確定しないということです。つまりは、「後払い」です。
経営的な視点で見れば、まあ後払いであることにメリットはないですよね。先払いのシステムが確立しているのに、なぜ、わざわざ不利な状況に変更しないといけないのでしょうか。

そして、この提案が、先日の文科省の「国立大授業料54万円→2031年度に93万円に値上げ」に対して、自己収入増の策として提案されているにもかかわらず、結局それは授業料の値上げでしかないという点。
つまり、成績順授業料で収入を増やしているのではなく、やっぱり学費値上げで収入を増やしているのです。
記事のように授業料収入が1.1倍になったとしても、「1.72倍必要だ」と言われている状況は解決しないのです。
現状の学費と比較して「上位3分の1は据え置き、中位3分の1はは1.5倍、下位3分の1は2.75倍」で、やっと1.75倍です。誰か賛成しますか?

さらに、結局「成績上位者に奨学金を給付する」という現状行われていることと、構造的には何ら変わっていません。これは「秘策」と勿体ぶるような話ではありません。

「学生によって、学費設定が異なる」ということには反対はしませんが、この提案では誰の得にもなりませんね。

すべては、結論に導くための、放言でしかないということは承知していますが、あえて書いています。
しかも、その結論も、ちょっとどうかという…。

学生をこんな状況におかなければ、大学教員の講義に対する姿勢が改めることができないのだとしたら、それこそ問題ですね。

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