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医学部、絵を描く入試問題は学生の何を見ているのか について考える

小さな頃から、絵を描くのは、わりと得意なほうでした。

自分の子どもにも、普段からお絵描きをするように、勧めてきました。
小学校の高学年になると「絵が描けると、理科でもいいことあるよ」と言ったりもしました。

観察ですね。

美術におけるスケッチとは目的が異なりますが、対象となるものの特徴や構造を正しく理解するためには、スケッチは重要です。

絵を描く入試問題は、学生のここを見ている「身近な動物」を描けない子どもが増えたワケ」(東洋経済)という記事から。
小林 公夫 :一橋大学博士、作家

過去に出題された医学部の入試問題に、以下に紹介するような珍しい問題がある。ご自身、あるいはお子さんと一緒に取り組んでみて欲しい。

【問】われわれにとって身近な動物であるニワトリとハエの全体像を、形態・構造上の特徴に留意して、できるだけ正確に描きなさい。ニワトリは雄を側面から、ハエは背面からそれぞれ描くこと。ここでは絵の巧拙を問わない。(後略)

「4本足のにわとり」は、昔から聞く、わりと有名な話です。

こんな本も出ているようです。

したがって、最近の大学生の話ではなく、ずっと昔からある話です。

医学部をめざそうという生徒ですから、当然、鳥の足は2本で、昆虫の足が6本であるという知識はあるのでしょう。
「昆虫の足は何本?」とストレートに質問すれば、「6本」と答えられるのでしょう。

でも、その知識が、絵を描くというところでは出てこない。
知識と体験が結びついていないということなのでしょうね。
「水深10mで1気圧増える」ことは分かっているけど、自分が潜っているとして、それによってどんな影響があるかは分からないような。

記事では、決めつけることはできないとの断りはありますが、「小学校から私立で育った子どもの絵は、総じて稚拙な感じ」となっています。
このあたりは、もう逆転してきているのではないか、というのが私の印象です。

もちろん、まだゴリゴリと勉強を強制するような私立学校もあるとは思いますが、今の私立学校は、もっと先に進んでいるのではないでしょうか。
学校で農園を運営したり、女子高でも生徒を囲わずにどんどん外に出すような教育が行われています。
そういった学校には「ゴリゴリ勉強しているだけではダメだ」という理由でその学校を選んだ生徒が集まりますから、とても活動的です。

大学入試改革の議論の中で、「結局、経済格差が教育格差につながることが助長される」というのが、この点です。
教科の知識だけではなく、それを活用する力、思考力、判断力、表現力を見るということは、つまり、ちゃんと2本足のニワトリを描けるかどうかを見ようということでしょう。

家庭教育で、普段はテレビとゲーム、休みの日には1日中ショッピングモールでは、体験できることは少なくなります。
豊かな体験をするためには、やはりある程度経済的な余裕がないと無理。

多くの生徒が通う公立学校で、どこまでのことができるか。

「教科書の勉強なんてどこでもできるから、学校は体験する場だよ」と大きく転換することができれば、また話は別ですが、今の高大接続の議論の中で、そこまでの話になっているのでしょうか?
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