近年の受験動向の特徴は「文低理高」と言われています。
就職の厳しさを反映して、文系学部ではなく、より就職に有利だと思われる理系学部に人気が集まっているということです。
少し前まで「理系離れ」「工学離れ」なんて言われていましたが、いったいどこに行ってしまったのでしょう。
「就職」を意識して工学部を選んで来た学生は、すぐに仕事で役に立つ技術や知識を身につけたいと思っているかもしれませんが、まず工学部で学ぶべきことは、ちょっと違うようです。
「
大学入試で人気復活の工学部で何を学ぶべきか? 「学び方」を学ぶことこそ、生涯の財産」(TechOn)という記事から。
竹内 健=中央大学教授
(前略)
20年、30年後も必要とされる、と自信を持って言い切れる仕事とは、果たしてどれだけあるのでしょうか。このように、大学や企業で学んだ技術のスキルで、一生、食べることは難しくなっているのです。
結局、大学や企業でまず身につけるべきことは、「学び方」ではないでしょうか。どのような技術を扱うかは、技術の変化に応じて、フレキシブルに変えていくしかない。また、個別の技術にとらわれない、より汎用のスキル、例えば、MOTを習得することも必要でしょう。
(後略)
ここに書かれていることは、何も工学部に限った話ですよね。
同じ会社で働き続けるとは限らないし、同じ会社の中でも仕事はどんどん変わっていく。
例え、同じ仕事に携わり続けるとしても、大学時代に身に付けた知識や技術は陳腐化していく。
常に、その場に必要な新しい知識・技術を身に着けられるような「学び方」を身に付けておこうということ。
私もその通りだと思います。
実は、そのことをよく実感しているのは、大学の先生方なのではないでしょうか。
出身学部や取得した学位と、現在の専門が異なる先生は珍しくないでしょう。
学生から見ると、大学教員というのは、その道をとことん究めている人に見えるかもしれませんが、その道は必ずしも一直線ではありません。
どこに分岐してもいいように、最初の道の幅を広げておくことも大切です。
社会人の先輩として、学生に伝えられることもあるでしょうね。
(学生が、素直に聞くかどうかは、わかりませんが・・・)
しかし、まだ、キャリアが始まっていない学生にとって、「好きなことをやりましょう」が必ずしも良いとは限らないと言うのは酷かもしれません。
学生たちは、学部選びにおいて「自分が何をやりたいのかしっかりと考えなさい」と言われてきたのですから。
「やりたくないことでも、とりあえずやっておけ」ではなく、もっとプリミティブに、新しいことを知ること、新しいことができるようになることを楽しめるようになっておこう、ということでもいいのではないでしょうか。
comments