就職活動をしている学生の中で、「お祈りされた」という言葉が交わされています。
不採用の通知が、だいたい「○○様の今後のご健闘をお祈り申し上げます」といった文章で括られていることからくるもの。
「また、昨日もお祈りされちゃった」と、半ば自虐的に使われているようです。
「
就活、すれ違いも−マイタウン新潟」(asahi.com)という記事から。
大学などを来春卒業する学生を対象にした企業合同説明会が2日、新潟市中央区の朱鷺(とき)メッセで開かれ、学生約550人と46の企業が集った。先月発表された全国の大卒者の就職内定率は調査史上最悪の57・6%。先の見えない不況の中で長引く就職活動に疲れた大学4年生と、「いい人材がいれば」と若干名ながら採用に意欲的な企業の間に横たわる「ミスマッチ」を指摘する声もある。(伊木緑) (後略)
新潟の記事ですが、全国共通の問題でもあるでしょう。
元記事の最後のほう、「一般常識やコミュニケーション能力を身につけた学生があまりにもいない」という採用担当者の言葉を見て、ふと考えました。
一般常識やコミュニケーション能力を身につけていないことが不採用の理由だとしたら、そのことは応募者には伝えたのでしょうか?
そんな企業はちょっと聞いたことがありません。
だいたい「ご縁がなかったということで」で片付けられます。
「無縁社会」は今年の流行語ですが、学生たちは社会に出る前に、すでに無縁社会を経験していることでしょう。
新卒者に高い能力が求められるようになった背景の一つとして、「企業が自身で教育をする余裕がなくなった」ということが言われています。
ならば、せめて採用選考の段階で教育的な配慮をして、「あなたは、これこれこういう力が不足しているので不採用となりました」と告げることはできないのでしょうか。
それならば、学生の側も、何かしらの対策もとれるというもの。
そんな企業をご存知の方はいらっしゃいますか?
comments
確かに、学生の立場からすれば不採用の理由は知りたいところですが、明確な採用基準があってそれを超えていれば必ず採用しなければならないというものでもないですし、教育的配慮とはいえ少なからずダメ出しされるわけで、言うほうも言われるほうも必ずしも嬉しいとは限らないですね。
例えるとすれば、縁談でお断りするのと同様な性質のものであり、「ご縁がなかったということで…」と敢えてはっきりと言わないのは文化というか、長年の知恵なのでしょう。
難しいところですね。
>そんな企業をご存知の方はいらっしゃいますか?
知りませんし、そもそもそういうことはやるべきでないですよ。学生が失敗から学ぶ貴重な機会を奪うことになります。
不採用になった、理由が知りたい、じゃあどうする?というのを自分で考えることが大事です。
企業の担当者に玉砕覚悟で聞くのもひとつの方法。そうそう答えては貰えないでしょうが、じゃあ何故答えてもらないのか?他に理由を知る方法はないのか?と真剣に考えるきっかけになるでしょう。
どうせ社会に出たら、同じようなことは自分でやらなければならないのてす。世に出る直前まで補助輪を付けてあげるのは、結局は本人にとって不幸なことだと思います。
みなさん、コメントありがとうございます。
今回は劣勢ですね。
トラックバックをくれた人なんかは、こちらが「できないでしょうか」と可能性の話をしているのに、「なぜそんなことをしなければならないのですか?」と、前のめりに。
極端な話、採用の理由はあっても、不採用の理由はないと思いますし、不採用担った学生がその理由を聞くことは非常識だとされていることは承知の上。
それだからこそ、他の企業に習うのではなく、別のアプローチを考える企業があってもいいのではないかと思った次第です。
4月下旬。
仕事中、知らない人が近づいてきて目の前に来た途端に涙ぐみ、「新人の○○です。面接の際はお世話になりました」と言われて戸惑いました。1年前のことで顔を忘れてましたから。
その後、「なぜ私なんかを通して下さったんですか?」と聞かれ、僅かな記憶を手繰り寄せたら、人事から「1日50人集団面接した中で上位10名選んで」と言われて、(ドングリの背比べ的な意味合いで)迷いに迷った挙げ句、10番目に選んだ学生だと思い出しました。もちろん「いいと思ったからに決まってるじゃないか」と伝えましたが。
通過の理由でさえ説明できないので、不採用の理由をフィードバックするのは現実的に困難だと思います。
あと困難な理由がもうひとつあります。
合否を伝えた後、面接で会ったとおぼしき学生からじっと見られている感覚が何度かありました。逆恨みされていたらと考えるとゾッとしますし、なるべくならばネガティブ情報を伝えるなど深入りしたくありません。会社は学生への教育の前に社員へのリスク回避を選択すると思います。
やはり、困難だというコメントですね。
その通りだと思います。
ただ、不採用を「学生の失敗」だと言われる方もいらっしゃいますが、ならば、「ご縁がなかった」でごまかすのは不誠実というもの。学生は、誰が成功したのか、どうやって成功したのか知る術はないですからね。そこから学べというのも、無茶な話です。
でも、いろいろな問題を考えると、企業が不採用理由を伝えることはできない。だからこそ、ちょっと意識の違う企業が出てきてほしいところです。
「新卒面接 実況中継」的な本がないのかなぁ、と書店さんで探してみたら「内定勝者〜面接編」という本がありました。面接のポイントが具体的に分かる利点はあるでしょう。個人的には「自分が学生じぶんにはこんなに高い意識を持って面接を受けてなかったな」と反省しましたが…。
また、面接官がマイナス面(は気づいてしまうが)より、何かしらプラス面を見つけて鉱脈がないか掘ろうとしてくれていることにも気づいて、うわべのテクニックに溺れず、あなたらしさを磨くことにもっと目を向けてくれるといいなあと思います。
自分も面接官を務めたことがありますが、「このエピソードをもっと広げてくれれば」とか「こちらが話を誘ったのはそっちじゃないんだよな」とか、思うことがあるんですよね。
でも、それを伝える場面はもうないわけですよ。
それを伝えることによって、次に受ける他社の面接ではもっといい評価をしてもらえるはずだと思うと、何か、やり方があるんじゃないかと思ったりするわけです。