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日本学術会議提案:卒業後3年は新卒扱いでについて考える

内定取り消しにあったり、卒業時点まで内定を得られなかった学生のために、卒業に必要な単位を取得していながら、就職活動のために卒業を延期する、いわゆる就職延期制度が、一般的になってきています。

なぜ、こんなものが必要なのかというと、日本の就職システムが、新卒採用に偏っているから。

このような状況に対して、日本学術会議からは、こんな提案が検討されているようです。

卒業後3年は新卒扱いに 大学生の就職、学術会議提案』(asahi.com)という記事から。
 大学生の就職のあり方について議論している日本学術会議の分科会は、新卒でなければ正社員になりにくい現状に「卒業後、最低3年間は(企業の)門戸が開かれるべきだ」とする報告書案をまとめた。最終報告書は近く、文部科学省に提出される。同会議は、今の就職活動が、学生の教育研究に影響しているとして、新しい採用方法の提案などで大学教育の質についての検討にもつなげたい考えだ。(後略)

どう考えても、的は外しています。

だいたい、実効性はないでしょう。
募集の段階では、「新卒3年まで可」となっていても、選考の段階でスクリーニングで落とされてしまうなら、意味がありません。そこまで、拘束力を持たせることは難しいでしょう。
そして、企業としては、今の4倍の規模の学生達を相手に選考をしなければなりません。
学生達も、ライバルが4倍に増えます。
今の「位置について、よーい、どん」で採用をやっている限り、「新卒3年まで」を導入しても誰の得にもならないでしょう。
新卒偏重そのものを変えなければ、何も変わりません。
そして、求人のパイが増えない限りは、システム面での対策も限界があります。

話をしているのが日本学術会議では、切迫感がないのも無理はありません。
でも、影響力のある大企業も、「新卒一括採用を止めます」なんてことは、怖くてできないでしょう。
新興企業が「新卒一括採用しません。いつでも、好きな時に来てください」といった具合にやって、のし上がってこないと、ダメな気がします。

そして、大学側としては、3月に一斉に卒業させるということを止めるというのも考える価値はあるのではないでしょうか。
新卒一括採用は、学生が3月に一斉に卒業することが前提ですので、まずその前提を崩してみるという方法もあるはずです。
もちろん、大学は大変ですが、自分達の効率は守ったままで、企業側だけにいろいろ求めるのも、また変な話ですから。

comments

ニュースでも新卒採用偏重を批判する識者の話を聞いたことがあります。整理できていませんがデメリットが多いことは分かります。

そんな中、あえて新卒採用メリットを考えてみます。

まず、企業が今後必要とする人材を次のように置いたとします。

■激しく変化する環境の中で、新たな課題を自ら発見し、誰も見つけたことのない答えらしきものを考え、それに向かって自分の行動を変えることを決断し、短期で実行し、検証と修正を行いつつ、ライバルと差別化するなどして成果を出す、というPDCAサイクルをぐるぐる回せる人材

次に新卒採用システムとは何かを考えます。

■新卒一括採用システムとは、短期(半年程度)間に、企業が期待することと今の自分の差を自ら見つけ、その解決法を考え、試行錯誤しながら、他の学生と差別化を図り、成果を出す、という学生個人の能力を伸ばす仕組みであり、企業が評価しやすい仕組みでもある

と考えると新卒一括採用に偏重した方がよりよいということになります。

うーん、数多のデメリットを覆すのはちょっとしんどいですね…(苦笑)

  • ヒラリー
  • 2010/03/31 10:39 AM

企業の新卒偏重は、考えてみると「一括採用、その後企業内飼い殺し」を前提にしています(終身雇用は既に過去のもの)。本来実力最重視であれば、報酬やプロジェクトごとに人材が企業間を行き来する市場が成り立ちえますが、「一括採用、その後企業内飼い殺し」の世界ではそれが一般的にはなりません(今の日本の中途採用市場は一般的ではないということ)。実力重視ではないので新規採用者者も本来の実力が企業に評価されるのではなく一定のスクリーニングを経て、企業内飼い殺しできるよう色の付いていない新卒者の確保が優先されるというわけです。そういうことで色が付いているとみられかねない卒業生は敬遠されてしまうわけです。
私は3月一斉卒業をやめるんではなく、大学卒業者を入学の3割ぐらいに厳選するなど、大学内で真に切磋琢磨させる環境を作ることが本来の大学改革に必要なのではないでしょうか。そうすることによって真の実力のある卒業生が社会で活躍できるようにすることが一番必要。トコロテン方式のように学生を押し出すのは辞めるべき。文科省は留年者や中退者が多い大学に優先して運営費交付金・私学補助金を出すべき。そしてレベルに合わない大学に入った学生は自分の身の丈にあった大学に転籍できるようなシステムを作るべき(身の丈にあった大学で真に切磋琢磨してもらう)。学生もそうした厳しい環境の大学を目指すようになるべき。
なんかコメントがエントリーにあわなくなってしまって申し訳ない。

  • 甘すぎ
  • 2010/03/31 4:24 PM

甘すぎさん、コメントありがとうございます。

「卒業生が色がついているとみられかねない」というところは、よくわかりません。卒業した後、継続して求職するとどういう色がつくのでしょうか。
企業が既卒未就職者を対象にしない明確な理由がないにも関わらず、対象となっていないのが問題なのだと思います。

卒業を厳しくするのもいいのですが、それは何割という相対的なものではなく、学生一人ひとりが「ここまでのレベルに達したから卒業」という基準をはっきりとさせるということなのでしょう。結果的に、全員がそのレベル達した上で卒業していくのであれば、それに越したことはないでしょう。

  • kange
  • 2010/03/31 11:25 PM

ヒラリーさん、いつもありがとうございます。
確かに、就職活動中に、学生は成長しますね。でも、就学期間中に、皆が一斉に取り組んで成長するのであれば、それは別に大学のカリキュラムの中でやってもいいこと。インターンシップなんかは、そういうものですよね。
本当は、そうやって、成長した結果を企業に評価してもらいたいところですね。

  • kange
  • 2010/03/31 11:34 PM

こちらこそどうもです。
もちろん合理的な「既卒未就職者を対象にしない明確な理由」などありません。企業に問えば「他の企業に就職して早期離職したのかもしれない」「他企業に就職を断られた理由があったのでは」などが考えられると思います。また「コスト増してまでそういう配慮しなくても採用は可能」などというかもしれません。(当方が既卒未就職者をそう見ているわけではありません)

『卒業を厳しくするのもいいのですが、それは何割という相対的なものではなく、学生一人ひとりが「ここまでのレベルに達したから卒業」という基準をはっきりとさせるということなのでしょう。』まことにそうなのです。そして自分はその基準に合致するのは全員ではなく、それなりであるべきと考えています。そういう高い理想を掲げて実践することこそ大学と思うんです。ただ日本の社会的な認識としては主さんの認識のほうが正当と思います。

  • 甘すぎ
  • 2010/04/01 5:49 PM
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